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真理は単純にして平凡である。

心に残った一文を書き留めていきます。すこしずつ、ひとつずつ、ささやかに。

「型」をどう考えるか

波に乗れるようになるには、いまの自分のままであっては決して乗れないことを海に入ってみて肌で知る必要がある。くだんのサーファーは基本をおろそかにしているのではない。型を型として活かすために、自意識や我の出た動きを否定しているのだ。 「体の知性…

実感が曲者。

実感が曲者だということは前にも述べた。しかし、私たちの日常は実感をよきものとして捉えているため、それが問題になると言われてもピンと来ない。現に実感できないサービスでは満足が得られないし、反芻できるようなすばらしさを実感しないと感動できない…

矜り高く生きよ。

汝は学問を琢き知を博め、もって帝を扶翼し奉る重き宿命を負うておる。よいか、文秀。困難な一生じゃぞ。心して仕え、矜り高く生きよ。 「蒼穹の昴1」 浅田次郎 講談社文庫 24ページ この小説を読むの、これで何度目か。とくにこの白太太のお告げがいい。…

投げられたあとの幸福感

単純な力まかせで相手をやり込めようのするときは、やる側もやられる側にもわだかまりが残るものだ。後味が爽やかではない。「相手をどうにかしてやろう」という我の張った動きは、丁寧な振る舞いには決してならない。そんな粗暴さに対しては、つい感情的に…

沢庵禅師「太阿記」

蓋し兵法者は勝負を争わず、強弱に拘らず、一歩を出ず、一歩を退かず、敵我を見ず、我敵を見ず、天地未分陰陽不到の処に徹して、直ちに功を得べし。 「太阿記」 沢庵禅師 主客未分、を表す有名な(武道家の間では)一説です。 これは治療も同じ。 もともと武…

まことに彼は我々の病を負い

彼は醜く、威厳もない。みじめで、みすぼらしい 人は彼を蔑み、見すてた 忌み嫌われる者のように、彼は手で顔を覆って人々に侮られる まことに彼は我々の病を負い 我々の悲しみを担った 「深い河」遠藤周作 講談社文庫 339ページ 昨日のテーマと同じです…

オーラがすごいと言ってるようじゃまだまだ。

ほら、よく言うでしょ。「オーラがすごい」「圧倒的な存在感」「教祖のような雰囲気」なんて。そんなのね、まだまだダメだと思うんですよね。ホンモノの宗教性は、びっくりするほど威圧感がない。もう、隣りに住んでるふつうのおっちゃん、といったただずま…

「ありのまま」でいいのだろうか。

嫉妬や憎悪、あるいは自己憐憫や怠惰を自分に許す、そういう傾向が現代社会ではとりわけ顕著であるように僕には見えます。人を憎む気持ちを平気で公開する。嫉妬心を剥き出しにする。自己規律の弱さを隠さない。そういう傾向が際立っています。そのこと自体…

些細なシグナル

自分を刷新してくれるような出来事は、いつだって些細なことなのだ。それをちゃんと捕まえておけるかどうかが、ものの見方の転換になるかどうかの別れ目になるのではないか。 「体の知性を取り戻す」 尹雄大 講談社現代新書70ページ 湯がたぎっているやか…

実感なんてなくていい

実感はいま新しく起きていることにまるで向き合っていない隙間に生じる虚ろな感覚だ。ズレが実感として自分を照り返しているのだ。だから、それを再現しようとするとき努力が生じる。しかし、その過程では少しも新しい出来事は起こらず、自分の中の古びた感…

先生、ご臨終ですか。

山岡鉄舟は五十三歳で胃癌で亡くなったが、「胃がん胃がんと申せども いかん中にもよいとこもあり」と詠むなど最後まで洒脱さを失わなかった。 死の間際、枕頭を見舞った勝海舟が、「どうです。先生、ご臨終ですか」と問うと鉄舟は少し目を開いてにっこりと…

非人間的なもの

「表から『入れてください』とドアを叩いても、中からドアを開けないとヴァンパイアは入ってこられない。誰か中の人がドアを開けて、『どうぞ』と言わないと入ってこられない。これは『非人間的なもの』が人間世界に侵入してくるときの構造をよく表していま…