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真理は単純にして平凡である。

心に残った一文を書き留めていきます。すこしずつ、ひとつずつ、ささやかに。

奔草の狼火

「鐘の音が一呼吸遅れじゃった」

「奔草(ほんそう)の狼火(のろし)が上がりましてございまする」

「……」

「小田原よりの送り狼火で丑の刻きっかりに」

「去ぬか」

「はい。今生(こんじょう)のお別れにございまする。来生にて…再び」

 

子連れ狼」 小池一男 小島剛夕 道草文庫25巻 109ページ

 

市井にまぎれて暮らす、柳生列堂配下の「草」、つまり忍びに招集がかかったシーン。

毎日毎日、丑の刻に東の空をみつめて暮らす。

そしてこの奔草の狼火があがれば家族を捨てて馳せ参じる。

とても切ないこの場面が一番好きです。

 

 

 

 

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