真理は単純にして平凡である。

心に残った一文を書き留めていきます。すこしずつ、ひとつずつ、ささやかに。

明るい言葉を大きな声で

看護婦になる教育を受けているときにひとつ教わったことがあります。明るい言葉は人の鼓膜を明るく震わせるということです。明るい言葉には明るい振動があります。その内容が相手に理解されてもされなくても鼓膜が物理的に明るく震えることに変わりはありません。だから私たちは患者さんに聞こえても聞こえなくても、とにかく大きな声で、明るいことを話しかけなさいと教えられます。理屈はどうであれ、それはきっと役に立つことだからです。経験的にもそう思います。

 

1Q84 Book2」後編 294ページ 村上春樹 新潮文庫

 

聴覚は最後までのこる感覚です。臨終の床で必死に呼びかけると蘇生することがあるのはちゃんと聞こえているからです。

明るい言葉を大きな声で。