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真理は単純にして平凡である。

心に残った一文を書き留めていきます。すこしずつ、ひとつずつ、ささやかに。

駅前中華

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五反田の駅前に「亜細亜」という広東料理の店がある。

私が五反田駅を通勤で使うようになってもう25年くらい経過するが、

25年前にすでにこの店はあった。

黒のTシャツと黒のパンツ、後頭部で長い髪を束ねたスリムな体型の老板(ラオバン=大将)と、

同じく黒のTシャツ、黒のパンツ、後頭部で長い髪を束ねたスリムな体型の太太(タイタイ=女将)が二人でやっている。

たまに、両親のいいところだけを受け継いだスラリとした娘と、端正な顔立ちの弟が手伝っている。

今は、弟も父と共に厨房に立ち、娘はその子供達を連れて店に顔をだす。

全員、肌が黒い。

色黒の血筋であろう。

 

この家族の佇まいが好きである。

寡黙で、凛とした一族。

おそらく漢族ではなく、越人の部類に入るだろう。

話している言葉は北京語でも広東語でもない。

もしかしたら客家(ハッカ)かもしれない。

 

私はいつも閉店間際や、夕方のヒマな時間帯を狙ってこの店に行く。

食べるのは、ラーメンとシュウマイ(ハーフ)である。

 

ラーメンは極めてシンプル。

 

横浜の中華街に「徳記」という店があるが、そこのラーメンとがよく似ている。

徳記のそれは池波正太郎さんのお気に入りである。

 

だけど、私はここのラーメンの方が体にあっている。

 

うまいかどうかは、その時のその人の体にあっているかどうかであって、

1回だけ食べてうまいとか、そうでもないとか、を評価するものではない。

 

シュウマイは本来4つだが、私は2つで十分。

柔らかい、優しい味がする。

 

ここは広東料理なので、餃子はない。

 

五反田なので、

酔客が「とりあえずビールと餃子」という反射のようなオーダーをするが、

そのたびに、タイタイが寂しそうに「餃子はやっていません」と答えるのを何度も見た。

 

とはいえ、ラーメンにメンマが乗っているのだから、

広東料理ではあるが、純日本産の料理である。

 

ラオバンの親の代あたりから東京に根を張った華僑であろう。

 

ラーメンとシュウマイハーフで900円。

 

一階のテーブル席に厨房に向かって座り、

ラオバンが静かに北京鍋を振るのを見つつ、この至福の麺をすする。

 

楽しみのひとつである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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